SPAN CLASS=”TEXT_MESSAGE”>消された命からのメッセージ
Ⅰ
台風が
近づく
朝、ぼくらは
一番行きたくない
場所に向かっていた。
本当は一番見たくないことを見るために。
ハイウエイに
乗り、
街を
越え、
町を
抜け、
人里れた山の中に、犬と猫の
死に
場所があった。
あちらこちらの町からワゴン車で
要らない犬と猫が
運ばれてくる。車から
引きずり出されて、オリの中に
放り
込まれた犬たちはおびえ、いらだち、
最後の
嘆きと
哀願を続ける。オリのすみにうづくまり、ガタガタと
震え
続ける子犬もいた。
言葉を
話せないから
都合のいい
言い
訳をして、
人間はじゃまになった
動物を見えないところへ
連れて行く。