車の窓から愛猫が逃げてしまったというおばあさんから相談を受けました。 一人暮らしでなかなか探しに行けないというので同情して、車に乗せて探しに行ったり、 ポスターを作って、貼って歩いたり・・・随分協力をしました。 ポスターを見て「うちの納屋へ来る猫に似ている」と連絡をくれた農家を訪ねて、捕獲器を仕掛けさせてもらいました。 そして、「カゴに入ったよ」という電話をもらって、おばあさんと駆けつけました。 |
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ところが、猫違い。捕獲器の中から不安気に自分を取り囲む人間たちをのぞき見る猫の姿が、何だか哀れでした。 その家のおじいさんが「この先の壊れたビニールハウスに寝泊りしているみたいだな。お宅の猫でないなら放してやっか」と言いました。 そしたら、おばあさんはこう言ったのです。「うちの猫もどこかで誰かのお世話になっているかもしれないね。 これも何かの縁だから、私がこの猫の面倒を見るから」と。そこにいた一同「いい人だなー」と感心しました。 私はおばあさん宅にゲージを運んで、一週間後にワクチンを受けに病院へつれて行く約束をしました。 |
ところが、その一週間後、おばあさんは加勢の友人までつれてきて、引き取った猫の悪口を並べ、 「年寄りにこれ以上負担かけないで、もうつれてって」と別人のように冷たく言ったのです。 皆の前でいい格好したものの、「うちの猫とは全然違う」ことであっというまに熱もさめ、 こちらへ押しつけてきた身勝手さには腹も立ちましたが、クリにとっては野良猫暮らしから救われたチャンスでした。 ケーキのモンブランみたいな毛色のクリは、寄り目でひょうきん顔ですが、マイペースで穏やか、懐(ふところ)の深い男です。 |
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